新約聖書の「使徒言行録(使徒行伝)」には、次のような記述があります。
『五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いてくるような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話し出した。』(使徒言行録2章1〜4節)
この、使徒たちに聖霊が降った事件、あるいはその日をペンテコステといい、
復活祭(イースター)から50日後にあたります。
*2009年は5月31日(日)がペンテコステ。
ペンテコステとはギリシア語で「50」のことで、この日はもともと「シャブオット」というユダヤ教の祭日でした。シャブオットは収穫を神に感謝する農業のお祭りで、過越祭から50日後に祝われました。先にあげた聖書に「五旬祭」という名で出てくるのがそれです。ドイツのある地方ではペンテコステの日に牛を花で飾って祝いますが、これは農業祭であったシャブオットのなごりかもしれません。(「えっ、春に収穫感謝?」とも思う方があるかもしれませんが、秋播きの小麦は春に出穂します。)
英語ではペンテコステの日はwhitsunday(ホイットサンデイ)と呼ばれます。whitはwhite(白)のことらしく、この日にバプテスマ(洗礼)を受けた人々の着る白い衣服から生まれた呼び名といわれます。昔は前日からペンテコステにかけて「徹夜祭」という行事があり、ここで集中してバプテスマを授けていたようです。
ペンテコステは、神の救いの完結、教会の成立と世界伝道の開始の日でもあり、クリスマス・
復活祭とならぶ大切な祝日です。
▲エル・グレコ「ペンテコステ」